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ツキノワの会

足尾野生動物観察会(2015年春)

2015年6月13・14日の2日間、栃木県足尾にて行われた自然観察会へ参加しました。

足尾と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは足尾銅山です。足尾銅山は、明治時代、国内一の産出量を誇る銅山でした。しかし、その一方で、日本の公害問題の原点とも言われる鉱毒事件でも知られています。

銅を取り出す時に発生する化学物質が渡良瀬川に流れ込み、魚の大量死を招き、流域の農作物にも大きな被害を与えました。また、精錬時の燃料による排煙、精製時に発生する鉱毒ガス(主成分は二酸化硫黄)は森の木々を枯らしました。

荒廃した足尾地区の森林を復元するため、1897年より足尾に治山事業がはじまり、以後、現在でもNPOによる植林が続けられています。しかし、一度木を失い土壌を喪失した土地は次々と崩れ、21世紀となった現在もその崩壊は続いています。

現在回復の途にある足尾の森は、野生生物の観察に非常に適しています。地を覆う木々に邪魔されることなく、野生生物の観察ができるからです。また、ツキノワグマなど接近が難しい野生生物についても、一定の距離(300~400メートル)を保って観察を行うことができる場所があります。

2日間の日程で行われた観察会では、ツキノワグマ(5頭)、カモシカ、アナグマ、イワツバメ、ニホンザル、シカを観察することができました。

ツキノワグマが蟻の蛹を食べることは知っていましたが、ツメで岩盤をめくって蟻を探し、大きな体で小さな蟻を一生懸命舐め取って食べている姿は、本や資料からでは分からない、「野生で生きることの厳しさ」を教えてくれているようでした。

また、再生しつつあるとは言え、人間が自然につけた大きな爪痕は簡単に回復するものではないということを、足尾の森は語っているように感じました。

今回足尾に来てみて、実際に現場に足び、自分の「五感」で自然を感じることの大切さを、再認識しました。

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